次男が大学に合格した。
3年越しの春だ。
「やっとだねえ」と笑ったけれど、胸の奥にはいろんな気持ちが渦巻いていた。
一度大学に入って「違う」と気づいて仮面浪人。
ひとり暮らしのまま予備校に通った2年目も結果は出ず、
3年目にようやく自宅に戻って、近所の予備校に通い直した。
私の住む地域では、高校を出たら就職して街を離れる子が多い。
大学に行く子もいるけれど、何年も浪人するなんてほとんど聞かない。
だから次男の浪人が長引くにつれて、
「まだ浪人してるの?」
「頭がいい子は大変ね」
そんな言葉をかけられることもあった。
悪気がないのはわかっている。
でも、そのたびに胸がちくりと痛んだ。
ご近所さんに会わないように、遠回りして帰った日もある。
最近の子は、ちょっとやってみて「ん?違う」と思ったら、
すっと方向転換することが多いらしい。
こらえ性がないと言えばそうなんだけど、
「自分の気持ちに正直」とも言える。
「リセットします」って宣言しても許される世の中になったんだなあと思う。
実は私も大学に入ったとき、
「こんなはずじゃなかった。やり直したい」と思ったことがある。
でも、あの頃はやり直すなんて言いづらかったし、
金銭的にも親に迷惑をかけると思って踏み出せなかった。
だから今の子たちが、自分の気持ちに素直に方向転換できるのは、
ちょっと羨ましい。
もちろん、やり直しには親のサポートが必要になる。
お金の問題はどうしてもついて回る。
もし夫が生きていたら、きっとこう言っただろう。
「わがまま言うな」
「やり直したいなら自分で稼いでから言え」
その世界線では、子どもたちは歯を食いしばって我慢したかもしれない。
それが良い方向に転ぶのか、悪い方向に転ぶのかはわからない。
でも、夫が亡くなって大黒柱の役を引き継いだ私は、
子どもたちを自立させる責任がある。
多少の回り道は仕方ない。
それでしっかり前に進めるなら、応援したいと思った。
そして今、やっと念願かなって大学に進学することになった次男。
しっかり勉強して、大学生活を楽しんで、
自分の人生を歩いていってほしい。
私も私で、やりたいことをやって、
自分の人生を楽しんでいこうと思う。


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