入校試験をなんとか突破して、いよいよ職業訓練が始まった。 初日は自己紹介やオリエンテーションが中心で、「これならついていけそう」と胸をなでおろした。 けれど、その安心は翌日にはあっさり裏切られることになる。
授業は、思っていた以上に速かった。 Photoshopやillustratorの基本操作を習ったと思ったら、次の時間には検定対策。 HTMLのタグを学んだその日のうちに、簡単なページを組み立てる課題が出る。
「ちょっと待って、まだ昨日の復習が終わってない」 そんな私の心の声を置き去りにして、授業はどんどん進んでいった。
生徒たちの大半は20~30代。
若い子たちは吸収が早く、講師の説明にうなずきながらスイスイ作業を進めていく。 私はというと、メモを取りながら必死に追いかける毎日だった。 頭の中で、昔の引き出しをガサゴソ探し回るような感覚。 でも、その必死さがどこか心地よかった。
家に帰ると、夕飯の支度をしながら「あれ、今日何を習ったっけ」と思い出せない日もあった。 それでも、家でパソコンに向かいながら復習を繰り返した。目がチカチカしたけど、楽しかった。
50代後半でこんなに頭を使う日々が来るなんて、想像もしていなかった。 でも、学ぶことに年齢は関係ないのだと、毎日の授業が教えてくれた。
そして、このスピード感の中で、私はもうひとつの現実に気づくことになる。 教室を見渡すと、どうやら私は最年長らしかった。

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