職場にもっていく私の弁当。中には必ず卵焼きが入っている。
卵焼き器を出すのが、だんだん面倒になってきた。
最近は、小さなフライパンに溶いた卵を流し込んで、丸く広がったところを、なんとなく端へ寄せて巻いている。
形は少しゆがむけれど、ひとり分の弁当なら、それで十分だと思えるようになった。
昔は、息子と二人分を作るのが当たり前で、卵焼きはきれいに四角く巻くものだと思い込んでいた。
不格好ではかわいそうだし、せめてお弁当の中だけでも整えてやりたい、そんな気持ちがあったのだと思う。
今は、丸くても、少し崩れていても、私が食べるだけ。
気楽さが、朝の台所にゆっくり広がっていく。
卵を巻きながら、「まぁ、これでいいか」と思える朝が増えた。
きれいに仕上げようと肩に力を入れていた頃より、ずっと呼吸がしやすい。
誰かのために整えていた手が、自分のためにゆるむと、こんなにも台所が軽くなるのかと時々驚く。
ひとり分の台所は、思っていたよりずっと軽い。
不格好でもおいしい。それだけで十分だと思える朝が、今の私にはちょうどいい。

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