夫の死と、突然の“老後資金”との向き合い方
夫が亡くなり、保険金や退職金など、まとまったお金が入りました。 一見すると「死別シングルマザーはお金を持っている」と思われがちですが、正直なところ、私はその通帳の数字を見て、途方に暮れてしまいました。
「このお金、どう扱えばいいの?」 それが最初に浮かんだ率直な疑問でした。
当時の私は専業主婦。たまに在宅でお小遣い稼ぎをする程度で、安定した収入はありませんでした。 夫の収入で成り立っていた生活が、突然、私ひとりの肩にのしかかってきたのです。
目の前にあるお金は、確かに“まとまった額”でした。 でも、それは「これからの人生を支えるための最後の砦」。 これをどう使えばいいのか、どれくらい持たせればいいのか、誰にも教えてもらえないまま、私は“老後資金”という言葉の重みに押しつぶされそうになっていました。
50代後半、終活を意識し始めた今
50代後半の私が、今から仕事を始めたとしても、夫のような収入を得られるとは思えません。 20年近く専業主婦だった私は、キャリアと呼べるものもなく、履歴書に書ける職歴も限られています。
つまり、今ある預金が“人生で一番多い状態”だと覚悟しなければならない。 これからは、そこから少しずつ取り崩しながら、暮らしていくしかないのです。
女性の平均寿命は88歳前後。 となると、私はあと30年近く生きる可能性がある。 もちろん、健康でいられるかどうかもわからないし、医療費や介護費用がどれくらいかかるのかも未知数です。
しかも、私ひとりの生活ならまだしも、我が家には息子がふたり。 ひとりは大学生、もうひとりは浪人生。 彼らが無事に大学を卒業するまで、学費や生活費の支出は続きます。
自分の生活費はある程度予測できますが、子どもたちの進路や就職状況によって、必要なお金は大きく変わってきます。 だからこそ、「この子たちが独立したときに、どれだけ残っているか」が、私の老後資金のスタート地点になるのです。
教育資金を支払いながら、自分の老後も考える。 正直、大変です。 でも、誰かがやらなきゃいけない。 だったら、私がやるしかない。 そんな気持ちで、少しずつ“終活”という言葉と向き合い始めました。
老後資金を“見える化”するためにやったこと
不安を漠然と抱えているだけでは、何も前に進まない。 そう思って、私は老後資金の“見える化”に取り組むことにしました。
具体的には、こんなことをしています:
- ライフプランを作る
→ 年ごとに自分と子どもたちの年齢を並べて、節目を可視化。
→ 進学・卒業・年金受給・免許返納など、人生の大きなイベントを時系列で整理。 - ひと月にかかる支出を把握する
→ 家計簿を見直して、固定費と変動費をざっくり分類。
→ 「最低限いくらあれば暮らせるか」を知ることで、安心感が生まれました。 - 子どもたちの学費の予算を見積もる
→ 入学金、授業料、仕送り、家電や引越し費用など、ざっくりとリストアップ。
→ 奨学金や給付金の可能性も調べて、現実的なラインを探っています。 - 車の買い替えやリフォームなど、大きな支出イベントを洗い出す
→ 10年後に車を買い替える?
→ 水回りのリフォームは必要?
→ 介護や医療費の備えはどうする?

こうして、お金の流れを“時間軸”でざっくりと整理してみると、 それまで霧がかかっていた未来が、少しずつ輪郭を持ち始めました。
子どもたちの進学や卒業、自分の年齢の節目、年金や免許返納のタイミング…。 こうして並べてみると、“今できること”が少しずつ見えてくる気がします。
不安は尽きません。 でも、未来を“見える化”することで、心が少し軽くなりました。 「なんとかなるかも」と思えるだけで、今日を生きる力になります。
資産運用と仕事探し、二本柱で備える
老後資金を少しでも長く持たせるために、私は「資産運用」と「仕事」の二本柱で備えることにしました。
資産運用については、6年ほど前から少しずつ始めています。
最初は怖くて、証券口座を開くのにも時間がかかりました。
でも、少額から始められるミニ株やiDeCoをコツコツ続けていくうちに、少しずつ資産が育ってきたのを感じています。
欲張らず、焦らず。
「増やす」というより、「守る」「育てる」感覚で続けています。
配当金が入るたびに、「ああ、ちゃんと動いてるんだな」と思えて、ちょっとした安心感にもつながっています。
一方で、仕事についてはまだ模索中です。
たまたまご縁があって、短期の仕事に就くことができましたが、それが終わればまた白紙。
書類選考で落ちることも増えてきて、「年齢の壁」をひしひしと感じています。
でも、私は「たくさん稼ぎたい」わけではありません。
細くてもいいから、長く続けられる仕事がしたい。
週に数日、無理のないペースで、生活のリズムを整えながら働ける場所。
そんな働き方を探して、少しずつ動いています。
収入を得ることはもちろん大事だけれど、
それ以上に「社会とつながっている」「誰かの役に立てている」と感じられることが、今の私には必要なのかもしれません。
これからの暮らしに向けて思うこと
夫が亡くなってから、もう何年も経ちました。 それでも、ふとした瞬間に「これからどうやって生きていこう」と不安になることがあります。
でも、ライフプランを作って、お金の流れを見える化して、 少しずつでも資産運用や仕事探しに向き合っていくうちに、 「今の自分にできること」が見えてきました。
子どもたちの未来を支えながら、自分の老後も守っていく。 それは簡単なことではないけれど、 “今”を大切に積み重ねていけば、きっと未来はつながっていく。
これからも、焦らず、無理せず、ちまちまと。 そんなふうに暮らしていけたらいいなと思っています。


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